枚方で叶える「ちょっとだけ」丁寧な暮らし

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プール跡地が“ひらけた広場”に。UR × MUJI × 大阪電気通信大学が描く、団地の新しい暮らし方

枚方市の中宮第3団地(京阪本線「御殿山」駅から徒歩約10分)にある旧プール跡地が、新たな「住民の広場」として生まれ変わりました。

UR都市機構、MUJI、そして大阪電気通信大学の学生が協働してつくりあげたこの場所は、単なるリノベーションではなく、団地での暮らしを未来につなぐ試みそのものです。

Re:HIRAKATAとして取材に訪れた私は、このプロジェクトが地域にもたらす価値の大きさを強く感じました。

今回は、その背景、住民の声、そして“団地で叶えるちょっと丁寧な暮らし”がどのように育まれているのかをお伝えします。

団地の価値を未来へ──3者が込めた想い

中宮第3団地のプール跡地を引きで撮影した、六角形が連なる広場と団地、青空の風景

今回のプロジェクトには、立場の異なる3者が関わっています。しかし、その中心にあるのは共通して「暮らしをより良くしたい」というシンプルな願いでした。

UR都市機構の視点:団地の可能性を開く

青空の下、中宮第3団地の側面に描かれた「50」の数字とレトロなレーシングカーのイラストを撮影した写真

URが見据えるのは、団地を“古い住宅”としてではなく、地域資源として再活用する未来です。

広大な敷地、共用施設、既存のコミュニティ──これらを活かしながら、新しい入居者を迎え入れるための仕組みづくりを進めています。

MUJIの視点:あるものを活かし、心地よさを再構築する

MUJI×URのパーツを取り入れた住戸の室内。和室の畳と、窓の向こうにベランダが見える様子を撮影した写真

MUJIは、団地のもつ質実な良さを尊重しながら「整える」リノベーションを担当。

必要最低限の改修と、残せるものはそのまま活かす姿勢は、MUJIらしい“暮らしの余白”を感じさせます。

大阪電気通信大学の学生の視点:使い手に委ねるデザイン

キュウカンサで談笑する大阪電気通信大学の学生たち。背後には黒板と蜂の巣型の本棚に絵本が並んでいる様子

旧管理サービス事務所「キュウカンサ」の改修を担ったのは、大阪電気通信大学の建築・デザイン学科の学生たち。

彼らは“自分たちの作品”をつくるのではなく、住民の要望を取り入れながら、将来の使い方を制限しないデザインを選びました。

この3つの視点が交わったとき、団地の未来が見えたような気がしました。

向かいの建物から撮影した中宮第3団地の全景。広い道路と街路樹の間に団地の建物が等間隔で並び、青空が広がる様子

イベントに広がる、自然なつながりと開放感

プール跡地でカプラを楽しみながらコーヒーを飲むおばあちゃんグループ

発表会の当日、午後からはプール跡ひろばを中心に、一般向けのイベントが開催されました。

団地イベントに来た絵本の移動販売車「ひまわり畑号」
団地イベントでシルクスクリーンを使い、オリジナルデザインのバッグを作る女性の手元

その光景はとても自然で、まるで昔からこの場所が“ひらけた広場”であったかのようでした。

多世代の人たちが距離を縮め、気軽に会話を交わし、笑い声があふれる──団地の持つ「開かれたコミュニティの力」を感じる時間でした。

住民の声から見える、団地の本当の価値

当日は、住民や近隣の親子、さまざまな年代の方々がプール跡地に集まりました。

子どもたちはカラフルな三角形のパネルや、カプラと呼ばれる長方形の積み木で自由に遊び、お母さんたちは青空の下でその様子を見守ります。

「住民だけでなく、近隣にも開かれた場所やイベントがあるのがいい」と話す方も。そんな声の一つひとつが、団地という暮らしの“手触り”を伝えてくれます。

小学生やおばあさんたちも交わり、協力したり、笑い合ったりしながら遊ぶ光景は、世代を超えた自然な交流を生んでいました。

プール跡地イベントで遊ぶ、青・黄色・ピンクにペイントされた三角形の木製パズルのアップ
カラフルな三角形のパズルで遊ぶ子どもの手元。いろいろな色を組み合わせて形を作っている様子

私も灯籠づくりに挑戦。住民の方と同じ目線で楽しむ体験から、団地は人々が自由に創作し、交流する場であることを実感しました。

普段は室内で行う遊びや創作を、屋外で体験することで、団地の景色が特別で豊かな時間に変わる──それが、この場所の本当の価値なのかもしれません。

灯籠ワークショップで和紙に描いたカラフルな虹の絵

「MUJI×UR Parts Room」は、暮らしが息をする余白

MUJI×UR PARTS ROOMのキッチン。広々として使いやすく、窓から光が差し込む室内

内覧したMUJIのリノベ住戸は、派手な演出はありません。しかし、室内に入った瞬間、空気がすっと整うような“心地よさ”があります。

MUJI×UR PARTS ROOMのキッチン。白いタイルの壁とコンセントがあり、広々とした使いやすい空間
MUJI×UR PARTS ROOMの床のアップ。木目が美しく、温かみのある雰囲気

白いタイルの壁、木の質感、シンプルな導線。

余計なものがないからこそ、住む人の暮らしが引き立つ──そんな設計思想が伝わってきました。

団地の素材を活かしながら、現代の生活に馴染むよう調整された空間は、まさに「丁寧に暮らすこと」を後押しする住まいでした。

団地の廊下。真っ直ぐに奥まで伸び、太陽の光が差して明るい様子

団地は“日々を育てる場所”。枚方で叶える丁寧な暮らしへ

大きな道路に面した中宮第3団地の一階部分。街路樹が植えられ、青空が広がる

今回のプロジェクトを通じて改めて感じたのは、団地が持つ力は「新しさ」ではなく、日々を育む豊かさにあるということです。

子どもたちの笑い声、住民同士の会話、手作りの灯籠、温かいコーヒー。

こうした日常の積み重ねが、ささやかな幸せを生み出します。団地は古い建物ではなく、手をかけ、関わり合い、時間とともに育つ“暮らしの器”なのです。

大阪府枚方市・殿山百済寺道から望む中宮第3団地の景観。青空の快晴の下で建物が並ぶ

UR、MUJI、大阪電気通信大学の協働による今回の取り組みは、地域資源を未来に引き継ぐ一歩であり、枚方というまちの魅力を確かな形で育て始めています。

Re:HIRAKATAとしても、こうした地域の価値を丁寧に伝え、暮らしの選択肢を広げるお手伝いを続けていきたいと思います。

このプロジェクトをきっかけに、団地に興味を持ち、「ここで暮らしてみたい」と感じる方が増えたら、取材者としてこれほど嬉しいことはありません。

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堀 寛未

堀 寛未

HORI HIROMI

大阪府枚方市出身。社会事業開発ACTION代表。ひらかたパークで宣伝広報として勤めたのち、2020年よりソーシャルビジネスに携わり、これまでライティングや、マーケティングなど、829本以上の動画講義をあげてきた。「枚方で叶えるちょっとだけ丁寧な暮らし」をコンセプトにしたローカルメディア「Re:HIRAKATA」を運営。

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