枚方で叶える「ちょっとだけ」丁寧な暮らし

コーヒー片手に、本

【おすすめの一冊】美食の国フランスの食卓は、驚くほどシンプル。上田 淳子『フランス人は、気軽なひと皿で食事を愉しむ。』

「コーヒー片手に、本」は、日々の暮らしに小さな刺激や学びをもたらしてくれる一冊をご紹介するシリーズです。今日は、上田 淳子さんのレシピ本『フランス人は、気軽なひと皿で食事を愉しむ。』を取り上げます。

私がこの本に出会ったのは、フランスの家庭料理に強く惹かれていた頃のことです。

上田淳子さんの本はすでに何冊か手元にあり、エッセイやレシピ本を通して、フランスの食卓や暮らしの考え方を知るのが、ちょっとした楽しみになっていました。

気がつけば本棚にはフランス料理の本がずらりと並び、「さすがにもう十分だろう」——そんなふうに思い始めていた矢先に発売されたのが、この一冊でした。

発売当初は、正直なところ購入を見送っています。

一度、そして二度。

それでも、何度か目にするうちに、表紙に写る料理と「ひと皿」という言葉が、静かに引っかかり続けました。

忙しい日常のなかで、がんばりすぎず、それでも食事を愉しむ——その姿勢こそ、今の自分が求めているものなのではないか。そう感じた瞬間、迷いは消え、手に取っていました。

では、お気に入りのマグカップにコーヒーを注いで、ゆったりと心が豊かになる読書のひとときをお楽しみください。

上田淳子さんの紹介

上田淳子さんは、確かな技術と、わかりやすい教え方に定評がある料理研究家です。神戸市に生まれ、辻学園調理技術専門学校卒業後、同校の西洋料理研究職員を経て渡欧しました。

スイスではホテルやベッカライ(パン屋)で、フランスではミシュランの星つきレストランやシャルキュトリー(ハム・ソーセージ専門店)などで、約3年間にわたり本格的な料理修業を積んでいます。

帰国後はシェフパティシエを経て独立。

現在は料理研究家として、自宅での料理教室を主宰するほか、雑誌・テレビ・広告など幅広いメディアで活躍しています。

また、ワインに合う日本食の提案イベントや、双子の母としての経験を生かした子どもの食育活動にも取り組んでいます。

『フランス人は、気軽なひと皿で食事を愉しむ。』はどんな本?

美食家というイメージが強いフランス人ですが、一般家庭の日常の食卓は、驚くほどシンプルです。日本以上に共働き世帯が多く、忙しい日々のなかで、無理をして何皿も用意することはしません。

基本は、ひと皿で完結する食事。

野菜に、肉や魚、卵や乳製品などのたんぱく質、必要に応じてパンやパスタといった炭水化物までを一皿にまとめる、いわゆる「オールインワン」が主流です。

お皿をたくさん並べなくても、気軽で、それでいてどこかおしゃれ。そんな合理的で豊かな食卓には、日本の私たちが学べるヒントが数多く詰まっています。

ひと皿に詰まった、フランス流の合理性と美意識

この本でまず印象に残ったのは、目次をめくった瞬間の楽しさでした。

さまざまなデザインのお皿に、色とりどりの料理が盛り付けられ、どれもボリュームがあり、思わず見入ってしまいます。

日本でいうワンプレートは、サラダ、肉や魚のメイン、付け合わせのおかずが一皿に盛られ、スープやごはん、パンがつくという形が一般的です。

一方、本書のフランス流ワンプレートは、野菜も、肉や魚も、卵やチーズ、さらにはパンやパスタまでもが、ひと皿に収まっています。

それでも雑多な印象はなく、むしろ洗練されて見える。そのバランス感覚に、フランスらしい合理性と美意識を感じました。

実際に私は、本書を参考にサラダ・ニソワーズを作ってみました。レシピは3〜5工程ほどに簡潔にまとめられており、構えずに取りかかれるのが魅力です。

アンチョビーが少し塩辛く感じたものの、黒オリーブ、トマト、じゃがいも、ツナ、半熟卵が彩りよく並び、見た目にも満足のいく一皿に仕上がりました。

もちろん、味も申し分ありません。

「手がこんでいる」と思っていたサラダ・ニソワーズが、こんなにあっさり作れるなんて。食べた後には、「また作りたい」と思っていました。

フランス流のひと皿が日常を変える──こんな人におすすめ

この本は、料理の腕を上げたい人のためのレシピ集……というよりも、日々の食事との向き合い方を見直したい人にこそ手に取ってほしい一冊です。

仕事や家事に追われ、「ちゃんと作らなければ」「栄養も見た目も整えなければ」と、知らず知らずのうちに食事を負担に感じている人。

ワンプレート=手抜き、という意識をどこかで持っている人。

そんな人ほど、本書が示すフランス流の合理的で気負わない食卓に、救われるはずです。

日々のごはん作りを、がんばる対象から、少し楽しめる時間へ。

そのきっかけを探しているなら、『フランス人は、気軽なひと皿で食事を愉しむ。』は、きっと心強い味方になってくれるはずです。

本の詳細

フランス人は、気軽なひと皿で食事を愉しむ。
1,760(税込)

発売日 2024年09月04日頃
著者/編集上田 淳子
出版社 誠文堂新光社
発行形態単行本
ページ数128p
ISBN9784416723487
目次

Part1 ボウルひとつでボリュームサラダ
サラダ・ニソワーズ/チキンソテーとじゃがいものサラダ/バゲットとハムのボリュームシーザーサラダ/ゆで麦とサーモンとオレンジのサラダ/ビーフステーキと焼き野菜のタブレ/トマトと牛肉ソテーのエスニックサラダ/さば缶とセロリのパスタサラダ クリームチーズ風味/ズッキーニのカルパッチョ/炒めきのことコンビーフのサラダ 目玉焼きのっけ…ほか

Part2 天板ひとつで簡単オーブン焼き
鶏もも肉のはちみつビネガー焼き/スペアリブのレモンタイムマリネ焼き/サルシッチャとブロッコリーのチーズ焼き/しいたけのひき肉詰め焼き/クリームチーズ風味のきのこハンバーガー/さけとじゃがいものガレット焼き/いわしのセロリ風味パスタ/えびとマッシュルームとパンのエスカルゴバター焼き/たらとカリフラワーのドフィノア風…ほか

Part3 鍋ひとつでたっぷりスープ煮
鶏肉と白いんげん豆のスープ煮/牛肉とビーツのスープ/ラムのカレー煮/鶏肉の白ワイン煮 にんにく風味/あさりと豚肉のスープ煮/ゆで魚とゆで野菜のケイパーソース/ミネストローネ/サーモンのミルクスープ ディル風味…ほか

季節のプチデザート
ルバーブといちごのクランブル/サワーチェリーのクラフティー/洋なしのアーモンドクリーム焼き…ほか

 


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上田淳子

上田淳子

UEDA JUNKO

兵庫県出身の料理研究家。辻学園調理技術専門学校で西洋料理・製菓・製パンを学び、スイスやフランスで約3年間の料理修業を積む。帰国後はシェフパティシエを経て独立し、自宅で料理教室を主宰。雑誌・TV・広告でも活躍し、子どもの食育やフランス料理の普及にも取り組む。著書多数。日本ソムリエ協会公認ワインアドバイザー。

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