枚方市の中宮第3団地(京阪本線「御殿山」駅から徒歩約10分)にある旧プール跡地が、新たな「住民の広場」として生まれ変わりました。
UR都市機構、MUJI、そして大阪電気通信大学の学生が協働してつくりあげたこの場所は、単なるリノベーションではなく、団地での暮らしを未来につなぐ試みそのものです。
Re:HIRAKATAとして取材に訪れた私は、このプロジェクトが地域にもたらす価値の大きさを強く感じました。
今回は、その背景、住民の声、そして“団地で叶えるちょっと丁寧な暮らし”がどのように育まれているのかをお伝えします。
団地の価値を未来へ──3者が込めた想い

今回のプロジェクトには、立場の異なる3者が関わっています。しかし、その中心にあるのは共通して「暮らしをより良くしたい」というシンプルな願いでした。
UR都市機構の視点:団地の可能性を開く

URが見据えるのは、団地を“古い住宅”としてではなく、地域資源として再活用する未来です。
広大な敷地、共用施設、既存のコミュニティ──これらを活かしながら、新しい入居者を迎え入れるための仕組みづくりを進めています。
MUJIの視点:あるものを活かし、心地よさを再構築する

MUJIは、団地のもつ質実な良さを尊重しながら「整える」リノベーションを担当。
必要最低限の改修と、残せるものはそのまま活かす姿勢は、MUJIらしい“暮らしの余白”を感じさせます。
大阪電気通信大学の学生の視点:使い手に委ねるデザイン

旧管理サービス事務所「キュウカンサ」の改修を担ったのは、大阪電気通信大学の建築・デザイン学科の学生たち。
彼らは“自分たちの作品”をつくるのではなく、住民の要望を取り入れながら、将来の使い方を制限しないデザインを選びました。
この3つの視点が交わったとき、団地の未来が見えたような気がしました。

イベントに広がる、自然なつながりと開放感

発表会の当日、午後からはプール跡ひろばを中心に、一般向けのイベントが開催されました。


その光景はとても自然で、まるで昔からこの場所が“ひらけた広場”であったかのようでした。
多世代の人たちが距離を縮め、気軽に会話を交わし、笑い声があふれる──団地の持つ「開かれたコミュニティの力」を感じる時間でした。
住民の声から見える、団地の本当の価値
当日は、住民や近隣の親子、さまざまな年代の方々がプール跡地に集まりました。
子どもたちはカラフルな三角形のパネルや、カプラと呼ばれる長方形の積み木で自由に遊び、お母さんたちは青空の下でその様子を見守ります。
「住民だけでなく、近隣にも開かれた場所やイベントがあるのがいい」と話す方も。そんな声の一つひとつが、団地という暮らしの“手触り”を伝えてくれます。
小学生やおばあさんたちも交わり、協力したり、笑い合ったりしながら遊ぶ光景は、世代を超えた自然な交流を生んでいました。


私も灯籠づくりに挑戦。住民の方と同じ目線で楽しむ体験から、団地は人々が自由に創作し、交流する場であることを実感しました。
普段は室内で行う遊びや創作を、屋外で体験することで、団地の景色が特別で豊かな時間に変わる──それが、この場所の本当の価値なのかもしれません。

▲私も灯籠作りに挑戦。住民の皆さんと同じ目線で楽しめました。
「MUJI×UR Parts Room」は、暮らしが息をする余白

内覧したMUJIのリノベ住戸は、派手な演出はありません。しかし、室内に入った瞬間、空気がすっと整うような“心地よさ”があります。


白いタイルの壁、木の質感、シンプルな導線。
余計なものがないからこそ、住む人の暮らしが引き立つ──そんな設計思想が伝わってきました。
団地の素材を活かしながら、現代の生活に馴染むよう調整された空間は、まさに「丁寧に暮らすこと」を後押しする住まいでした。

団地は“日々を育てる場所”。枚方で叶える丁寧な暮らしへ

今回のプロジェクトを通じて改めて感じたのは、団地が持つ力は「新しさ」ではなく、日々を育む豊かさにあるということです。
子どもたちの笑い声、住民同士の会話、手作りの灯籠、温かいコーヒー。
こうした日常の積み重ねが、ささやかな幸せを生み出します。団地は古い建物ではなく、手をかけ、関わり合い、時間とともに育つ“暮らしの器”なのです。

UR、MUJI、大阪電気通信大学の協働による今回の取り組みは、地域資源を未来に引き継ぐ一歩であり、枚方というまちの魅力を確かな形で育て始めています。
Re:HIRAKATAとしても、こうした地域の価値を丁寧に伝え、暮らしの選択肢を広げるお手伝いを続けていきたいと思います。
このプロジェクトをきっかけに、団地に興味を持ち、「ここで暮らしてみたい」と感じる方が増えたら、取材者としてこれほど嬉しいことはありません。
企業・団体の皆さまへ
Re:HIRAKATAでは、取材やコラボレーションのご相談を受け付けています。記事掲載やイベント取材など、ご希望の方はこちらのフォームからお問い合わせください。
