京阪電車で枚方市から約40分。
中之島エリアに着くと、高層ビルが立ち並ぶ都心の景色が広がっていました。
最寄り駅から歩いていくと、黒い外観が印象的な建物が見えてきます。
入り口で迎えてくれるのは、宇宙服のようなスーツを着た猫のオブジェ。日常から少しだけ離れた場所へ来たことを、静かに感じさせてくれる風景でした。

今回は、枚方から日帰りで楽しめるお出かけ先として、大阪中之島美術館で過ごした時間をお届けします。
少し難しそうに感じていた美術館も、実際に足を運んでみると、思っていたよりずっと自由に、自分のペースで楽しめる場所になるかもしれません。
※記事で紹介している「拡大するシュルレアリスム」は2026年3月8日(日)まで開催されています。

美術館は、思っているよりずっと自由

「美術館は、詳しい人がいく場所」
そう思っている方もいるかもしれません。
けれど一歩展示室に入ると、そこはにぎやかすぎず、でも静まり返っているわけでもなく、それぞれが思い思いの距離感で作品と向き合える空気に包まれていました。
上品な明かりに照らされた展示室には、小さなお子さんを抱っこしているお父さんや、グループでワークに取り組む制服姿の学生たち、仲良く並んで鑑賞するご夫婦の姿も見られます。

作品の前でゆっくり立ち止まる人、説明を読みながら静かに見入る人、気になった展示を何度も見返す人。
過ごし方は人それぞれで、美術館は知識の有無にかかわらず、自分のペースで楽しめる場所なのだと感じました。
シュールな世界に、そっと触れる
今回訪れた「拡大するシュルレアリスム」展では、少し不思議で、夢の中の景色のようにも感じられる作品が数多く紹介されていました。
絵画だけでなく、写真や立体作品も並び、ひとつの表現がさまざまな形へ広がっていったことを感じられる展示になっています。

▲ジャン(ハンス)・アルプ《植物のトルソ》1959年 大阪中之島美術館
シュルレアリスムと聞くと難しそうに思えますが、実は私たちが日常で使う“シュール”という言葉も、シュルレアリスムと深く関わっています。
作品の意味をすぐに理解しようとしなくても、気になる作品の前で立ち止まって「これはなんだろう」と感じたり、「なぜか気になる」と思ったりすること自体が、この展覧会のおもしろさなのかもしれません。
匿名の気配をまとった「山高帽の男」

▲ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》1957年 大阪中之島美術館
今回の展示の中でも、特に印象に残ったのが、ルネ・マグリットの《レディ・メイドの花束》です。
1957年に制作された作品で、大阪中之島美術館のコレクションを代表するシュルレアリスム作品のひとつとして知られています。
山高帽をかぶった男の背中には、ボッティチェッリ《春》に登場する女神フローラの姿が重ねられていて、見慣れた人物像の中に、どこか夢のような違和感が入り込んでいました。

▲ルネ・マグリット《王様の美術館》1966年 横浜美術館
その隣に並んでいたのが、同じくマグリットの《王様の美術館》です。
こちらは山高帽とフロックコートを着た男が画面の中央に立ちながら、体の部分は消え、目と鼻と口だけが浮かぶように残されています。
その内側には、森や山、空、そして屋敷の風景が広がっていて、現実のようでもあり、夢の中の景色のようでもある、不思議な感覚がありました。
今回の「拡大するシュルレアリスム」展では、この《王様の美術館》がメインビジュアルにも使われており、展覧会を象徴する一作として強く印象に残っています。

他にも、天井から吊り下げられて本来の役割を失った帽子掛けや、メトロノームに瞳が貼り付けられたオブジェ、ポスターにも取り入れられていたシュルレアリスムの表現など、会場には思わず足を止めたくなる作品がいくつもありました。


現実の中に少しだけずれた感覚が差し込まれるような、その不思議さに引かれながら展示を見て回る時間はあっという間に過ぎていきました。

観たあとに広がる、もうひとつの楽しみ

展示を見終えたあとには、最後にグッズコーナーが設けられていました。
会場で出会った作品をモチーフにした図録やトートバッグ、ポストカードが並び、そのほかにもアートに関する書籍や、デザイン性の高いインテリア雑貨、知育玩具などがそろっています。
私が手に取ったのは、「拡大するシュルレアリスム」の図録です。
ポスターと同じ、ピンクとグレーの線が幾重にも重なる四角い枠に、大きく黒字でタイトルが配された表紙のデザインに惹かれて購入しました。
ルネ・マグリットの《王様の美術館》のポストカードも選び、自宅の壁に飾る予定です。

さらに、同じ建物の1階にあるカフェレストラン『ミュゼカラト』でランチもいただきました。
今回は特別に個室で、1日50食限定の「スペシャルワンプレート遊園地」を注文。オレンジや黄色、紫に緑と彩り豊かで、見た目の美しさにも気分が高まる逸品です。

希少部位ランプ肉のローストビーフは厚みがあり、カスレや野菜のキッシュ、ローストポテトとキャベツのソテーまで、ひと皿の中でさまざまな味わいが楽しめました。
特に「野菜と鶏、貝の旨味の美食スープ」はやさしい味わいで、ほっとするようなおいしさです。


最後にお店の方におすすめしていただいた紅茶を飲みながら、展示を静かに振り返る豊かな時間となりました。
枚方から少し足をのばして、非日常にふれる一日を

枚方から電車で気軽に足を運べる大阪中之島美術館は、少しだけ日常を離れて過ごしたい日にぴったりのお出かけ先です。
難しそうに感じていた芸術の世界も、実際に足を運んでみると、自分なりの感覚で自由に楽しめる時間へと変わっていきます。
また、展示を観たあとに図録やポストカードで余韻を自宅に持ち帰ったり、同じ建物内でランチを楽しんだりと、観覧後の時間まで含めて楽しめるのも魅力です。
ぜひ、大阪中之島美術館で静かに感性をひらくような一日をお楽しみください。

大阪中之島美術館の基本情報
| 住所 | 大阪府大阪市北区中之島4-3-1 |
| 開館時間 | 展示室10:00〜17:00(入場は16:30まで) ※展覧会により異なる場合があります。 |
| 休館日 | 月曜日 ※メンテナンスや展示替え作業等で臨時休館する場合があります。 |
| 料金 | 展覧会により異なります。 |
| 駐車場 | 有料駐車場「KF-Park 大阪中之島美術館」を利用可。 |
| トイレ | 各階に多目的トイレあり。 |
| 交通案内 | ・京阪中之島線「渡辺橋駅」から徒歩約5分 ・Osaka Metro四つ橋線「肥後橋駅」から徒歩約10分 |
| WEB | https://nakka-art.jp/ |
ミュゼカラトの基本情報
| 住所 | 大阪府大阪市北区中之島4-3-1 大阪中之島美術館 1階 |
| 電話番号 | 06-6940-7025 |
| 開館時間 | 11:00〜21:00(ラストエントリー 19:30/ラストオーダー 20:30) |
| 定休日 | 不定休 |
| 座席 | 128席 (テラス席20席、個室10席含む) |
| WEB | https://musee-karato.com |
※記事で紹介している「拡大するシュルレアリスム」は2026年3月8日(日)まで開催されています。
制作:社会事業開発ACTION
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