
「あの日、あのとき、枚方で」は、「枚方で過ごした小さな日常の物語」をコンセプトに、大阪府枚方市での思い出や街の風景、人とのささやかな関わりを切り取ったエッセイ動画です。読むたびに、あのときの風景や気持ちがそっとよみがえる、そんなやさしい時間をお届けします。

あの日のことを思い返すと、今でも心が温かくなります。舞台は小学校。私と同じ名前を持つ「ひろみちゃん」との出会いが、思いがけない友情の始まりでした。
違う顔、違う性格、違う人生。それでも同じ名前がきっかけで仲良くなり、まるで半身のように一緒に過ごす時間が増えていきました。
そして大人になってから、思いもよらない場所で再会を果たします。名前がつないでくれた縁は、年月を超えて私たちを再び結びつけてくれました。
今回は、その「もう一人のひろみちゃん」との思い出を振り返りながら、名前に込められた不思議な力と、再会の喜びを静かに綴ります。
ぜひ最後までお楽しみください。
名前がつないだ出会い

小学校に入学したばかりの頃、私と同じ名前を持つ「ひろみちゃん」と出会いました。
最初のきっかけは、私が「一緒の名前だね」と声をかけたことだったそうです。私はその瞬間をはっきりとは覚えていませんが、同じ名前を持つというだけで、不思議と心の距離が近づいていきました。
私たちは漫画や絵を描くことが好きという共通点もあり、自然と一緒に過ごす時間が増えていきました。
違う顔、違う性格、違う家庭環境。それでも「同じ名前」というたった一つの共通点が、まるで鏡のように互いを映し出し、半身のような存在へと変わっていったのです。

それぞれの道と重なる時間

小学校で出会った私たちは、やがて同じ中学校へ進みましたが、高校で進路は分かれることになります。
けれど、不思議なことに私たちの縁は途切れませんでした。部活動が偶然同じで、大会のたびに顔を合わせることができたのです。
制服も友人関係も違う二人が、会場で再び出会う瞬間は、特別な再会のように感じられました。
思いがけない再会

大人になり、私は思いもよらない場所で「もう一人のひろみちゃん」と再会しました。産婦人科のロビーです。
看護師さんが私の名前を呼ぶ声を聞いたひろみちゃんが、ふと目を上げて、私を見つけてくれたのです。

彼女のお腹には、赤ちゃんがいました。あの小学校での出会いから、ずっと別々の人生を歩んできた二人が、まさかこうして再び交わるとは思いもよりませんでした。
同じ名前を持つというだけで、こんなにも深い縁が続くことに、胸が熱くなります。

これからも互いの人生に幸せが続くことへの静かな期待を胸に、私たちはその場で別れました。それ以来、ひろみちゃんとは会っていません。
けれど、今もどこかで元気でいてくれて、おばあちゃんになった頃にでも再開できるのでは……と思っています。
動画では、音楽とナレーションであの日のやり取りをお届けしています。ぜひご覧ください。
続きはYouTubeでお楽しみください


もくじ
お母さんを亡くしたばかりのNちゃんと観た『アルマゲドン』。映画の音楽が流れるたびに、胸の奥がきゅっと痛む。
同じ名前がつないだ友情。もう一人の「ひろみちゃん」との意外な場所での再会
あの日言えなかった「好き」。長電話をしていたMくんが、Aちゃんと付き合って……?
中学3年生の夏、進路の迷い。本当は苦手だった幼馴染のKちゃんが教えてくれた可能性。
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制作:社会事業開発ACTION