七十二候は、自然の変化を細やかに表現した伝統的な季節のリズムです。一年を72の細やかな時期に分け、それぞれに独特の美しい名前が付けられています。
これにより、私たちの暮らしと自然とのつながりを、より深く感じることができます。
「72の便り」は、七十二候をテーマに、季節の移ろいを丁寧に紡いでいくシリーズです。日本の美しい四季を感じながら、日々の暮らしに寄り添う瞬間をお届けします。

2/4~2/8頃の七十二候は「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」。
一年をめぐる七十二候、その一つ目にあたる候です。
立春を迎え、暦の上では、新しい年の季節循環が静かに始まります。東風解凍は、その「はじまり」を告げる合図のような存在です。
自然は一気に変わるわけではありません。
氷は静かに、音も立てずに薄くなり、やがて水へと姿を変えていきます。それは劇的な変化ではなく、しかし後戻りのない変化です。
固く閉ざされていたものが、内側から少しずつ緩み、流れを取り戻していく。東風解凍は、これから続く季節の変化が、すでに始まっていることを私たちに知らせてくれます。
冬の間、止まっていたように感じられた時間や感情、計画や思考もまた、この頃から少しずつ解け始めます。
七十二候の一歩目であるこの時季は、無理に加速するのではなく、自分の中で静かにほどけ始めたものに目を向けること。
それが、これから巡る季節と最も調和した過ごし方と言えるでしょう。

もくじ
第七十候「款冬華 (ふきのはなさく)」 1/20~1/24頃
第七十一候「水沢腹堅 (さわみずこおりつめる)」 1/25~1/29頃
第七十二候「鶏始乳 (にわとりはじめてとやにつく)」1/30~2/3頃
バックナンバー

