枚方で叶える「ちょっとだけ」丁寧な暮らし

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コーヒー片手に、本

【おすすめの一冊】「ない」ことが、こんなにも豊かだなんて。フランスの台所から届いた川村明子の一冊『日曜日はプーレ・ロティ』

「コーヒー片手に、本」は、日常にちょっとだけ丁寧さを加えてくれる素敵な本をご紹介するシリーズです。お気に入りのマグカップで、香り高いコーヒーを楽しみながら、心を豊かにする読書のひとときを過ごしましょう。

今日は、川村明子さんのエッセイ『日曜日はプーレ・ロティ』をご紹介します。

この本を手に取ったのは、2024年のことでした。
当時の私は、フランスの家庭料理にふと興味を持ち、さまざまなエッセイを読み漁っていた時期。けれど、正直に言うと──プーレ・ロティが何なのかも、まだよくわかっていませんでした。

(※プーレ・ロティとは、フランス語で「ローストチキン」のこと。鶏肉を丸ごと、または一部をローストして作られる、フランスの日曜の定番料理です。)

そんな私の目を引いたのは、表紙に描かれたおいしそうなチキンの丸焼きと、淡いイエローとホワイトの太いボーダー。シンプルだけれど、どこか心をほどくようなデザインに惹かれ、「読んでみよう」と思いました。

ページをめくるうちに見えてきたのは、フランスの人たちの台所にある、“ない”ことを豊かに変える暮らしの知恵。すぐに手に入らないからこそ、工夫すること。手間がかかるからこそ、大切にしたくなる味わい。そんな視点に、何度もはっとさせられました。

さあ、コーヒー片手に、素敵な本との出会いを楽しんでください。

【おすすめの一冊】「ない」ことが、こんなにも豊かだなんて。フランスの台所から届いた川村明子の一冊『日曜日はプーレ・ロティ』挿入画像

川村明子さんの紹介

【おすすめの一冊】「ない」ことが、こんなにも豊かだなんて。フランスの台所から届いた川村明子の一冊『日曜日はプーレ・ロティ』

川村明子さんは食ライターでありジャーナリストです。

1998年に大学を卒業後、フランスへ渡り、名門料理学校ル・コルドン・ブルー・パリで製菓と料理を学びました。その後、パリを拠点にフランスの食文化を深く掘り下げる取材や執筆活動を続けています。

近年は日本のテレビ番組で食をテーマにしたドキュメンタリーの企画・構成にも携わり、自ら「伝える人」として出演しながら、豊富なインタビュー経験を活かして食の魅力を伝えています。

日曜日、フランスのキッチンから届くゆるやかな時間

【おすすめの一冊】「ない」ことが、こんなにも豊かだなんて。フランスの台所から届いた川村明子の一冊『日曜日はプーレ・ロティ』

日曜日はプーレ・ロティ』は、忙しい日常のなかで忘れがちな「食べることの時間」をそっと取り戻してくれます。フランスの家庭で当たり前のように繰り返される食事の営み。それは決して特別なものではなく、むしろ「不便」や「手間」が自然な形で暮らしに息づいているのです。

著者・川村明子さんが20年以上かけて体験し、丁寧に綴ったエッセイは、食べる喜びと暮らす楽しさをあらためて教えてくれます。たとえば、日曜日の定番「プーレ・ロティ(ローストチキン)」を囲む時間には、ただ料理をするだけでなく、その香りや音、時間の流れまでをゆったりと感じ取ることができます。

この一冊は、「早く・簡単に」が価値とされる現代に、逆らうように「じっくり・ゆったり・手間をかける」ことの豊かさを静かに伝えてくれる、そんなやさしい贈り物のような本です。

一冊の本がもたらした、わが家の冷蔵庫の小さな変化

【おすすめの一冊】「ない」ことが、こんなにも豊かだなんて。フランスの台所から届いた川村明子の一冊『日曜日はプーレ・ロティ』

この本を手に取ってから、わが家の冷蔵庫の中身が少しずつ変わりはじめました。

まずはドレッシング。市販のものをやめて、オリーブオイルと塩胡椒、ヴィネガーだけで手作りするように。

シンプルな素材の組み合わせだからこそ、オリーブオイルをレモン風味に変えたり、塩をトリュフソルトにしたり、ヴィネガーも白ワインやバルサミコに変えたりと、気分や料理に合わせて自由に味を変えられるのが楽しいのです。

またケチャップやマヨネーズも買わなくなりました。調味料は複雑な材料からできているけれど、逆にその材料さえあれば、自分で作れることを教えてもらったからです。

こうした小さな変化が、料理の時間をぐっと豊かにしてくれています。

【おすすめの一冊】「ない」ことが、こんなにも豊かだなんて。フランスの台所から届いた川村明子の一冊『日曜日はプーレ・ロティ』

フランス流の手間と効率がつくる、やさしい食卓

【おすすめの一冊】「ない」ことが、こんなにも豊かだなんて。フランスの台所から届いた川村明子の一冊『日曜日はプーレ・ロティ』

日曜日はプーレ・ロティ』は、フランスの家庭料理に宿る、ゆったりとした時間と暮らしの豊かさを静かに、けれども温かく綴った一冊です。

不便で、手間がかかり、けれどもその手間こそが食卓に深みを与えていること。忙しい日常の中で忘れがちな「食べることの本質」を、やさしいまなざしで見つめ直すきっかけになります。

特別なことではないけれど、じんわり心に残るそんな日常の営みを大切にしたい方に、そっと手に取ってほしい本です。

本の詳細

日曜日はプーレ・ロティ

1,650円(税込)

発売日2018年12月27日頃
著者/編集 川村明子
出版社 CCCメディアハウス
発行形態単行本
ページ数208p
ISBN9784484182353
目次

日曜日はプーレ・ロティ/毎晩つくったドレッシング/冷蔵庫にマヨネーズがない/フランスのおいしい神器ーオーブン/風景のあるおいしさ/本物のサラダ・ニソワーズを探せ!/自家整瓶詰め生活/古物市で買うお皿ーl’^ameのはなし/マルシェに通うそのワケは/おいしい薬ーハチミツ/畑から食卓へ/チーズに流れる2つの時間について/バターにも季節がある/パン屋の存在

 


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ほっとひと息。次の一冊も、よかったら。

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川村明子

川村明子

kawamura akiko

1998年に大学を卒業後、フランスに渡り、ル・コルドン・ブルー・パリで料理と製菓を学びました。その後、パリを拠点に食文化に関する執筆や取材活動を行い、『日曜日はプーレ・ロティ』をはじめとする著書を出版しています。また、雑誌「&Premium」などで「サンドイッチ調査隊」などの連載を持ち、自身のInstagramアカウントでは日々の食や暮らしに関する投稿を行っています。

  1. 【おすすめの一冊】「ない」ことが、こんなにも豊かだなんて。フランスの台所から届いた川村明子の一冊『日曜日はプーレ・ロティ』

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